はじめに
個人的Mac必須アプリの1つであるRaycastを紹介する。Raycastはランチャーアプリで、macOS標準のSpotlightを大幅に拡張したものと考えてよい。
本稿では特に万人にとって有用と思われる以下の3機能に焦点を当てる。
- Spotlightの強化: システムコマンドや各種操作を統合的に実行
- Clipboard History: クリップボード履歴の管理と呼び出し
- Window Management: キーボードによる高速なウィンドウ操作
Spotlightの強化
RaycastはSpotlightの上位互換として機能する。標準のSpotlightではアプリ起動やファイル検索が中心だが、Raycastはシステムコマンドの実行、各種設定へのアクセス、計算機能、単位変換など多様なコマンドを統合している。
↑システムコマンドの例
キーバインドのカスタマイズも可能で、頻繁に使うコマンドにショートカットキーを割り当てることで、さらに効率を高められる。検索の応答速度も高速で、日常的なタスクのほぼ全てをRaycastから起動できる点が強力だ。
Clipboard History
クリップボード履歴管理機能を標準で備えており、Clipyなどの専用アプリの代替となる。過去にコピーしたテキストや画像を即座に呼び出せるため、複数の情報を行き来する作業において生産性が大幅に向上する。
履歴の検索も高速で、数日前のコピー内容も容易に探し出せる。履歴の保存期間や除外するアプリの設定も可能だ。
Window Management
ウィンドウ配置を素早く調整できる機能で、MagnetやRectangleなどの専用アプリを置き換えられる。一昔前はMagnetがApp Storeの有料アプリの不動の一位であった。2024年秋のmacOS Sequoiaからは標準でもドラッグによるウィンドウタイリング機能が追加されたが、MagnetやRaycastはキーボードのみで操作できる点で優れている。加えて、RaycastはMagnetと異なり無料である。
↑使用できるコマンドは多岐にわたる
↑このような分割ウィンドウ配置がワンタッチで実現する
半分配置、四分割配置、最大化、ディスプレイ間の移動など、一般的なウィンドウ操作を全てショートカットキーで完結できる。マウスに手を伸ばす必要がなく、作業フローを中断しない。
インストール
公式サイトからダウンロードするか、Homebrewを使用する。
brew install --cask raycast
初回起動時にアクセシビリティ権限の許可が求められる。システム設定から適切に権限を付与すること。
設定
推奨するキーバインドを以下に示す。全て設定画面から設定することが可能だ。
基本設定
機能 | キーバインド | 備考 |
---|---|---|
Raycast起動 | ⌘Space | デフォルトは ⌥Space 。Spotlightを上書き推奨 |
Clipboard History | ⌘⇧V |
Window Management
操作 | キーバインド |
---|---|
左半分 | ^⌥← |
右半分 | ^⌥→ |
上半分 | ^⌥↑ |
下半分 | ^⌥↓ |
全画面 | ^⌥Enter |
Next Display | ^⌥Space |
左上1/4 | ^⌥U |
右上1/4 | ^⌥I |
左下1/4 | ^⌥J |
右下1/4 | ^⌥K |
Tips: 半分割コマンドは連打すると1/3分割をサイクルするため、1/3系のキーバインドを別途登録する必要はない。Next Displayはマルチディスプレイの場合に便利に使える。
その他、必要に応じて公式Storeから拡張機能を追加できる。
基本機能は無料で利用可能。有料のProプランではAI機能やクラウド同期などが追加されるが、本稿で紹介した機能は全て無料版で使える。
おわりに
Raycastは単一のアプリで複数の専用ツールを置き換えられる強力なランチャーだ。Spotlight、Clipy、Magnetなど個別にインストールしていたアプリを統合でき、操作の一貫性も保たれる。Mac環境の生産性向上を目指す方、特にキーボード中心の操作スタイルを好む方には必須級のツールと言える。